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    冬近い冴えた日ざしが午過ひるすぎの河原町の長い、だが人気のない通り一杯に溢れていた。一体みんな何をしているんだらう、まさか軒並みに夜逃げしたわけでもあるまいのに、と呟つぶやきたくなるほど人の子一人いなかつた。そして、冴えているがしだいに温ぬくもりの増して来る日は、何だかのうのうと、つまり誰もいないので日そのものが路一杯にひろがつて日向ひなたぼつこをしているみたいであつた。

    「いや、私はすぐこの近くで医者をしとる、高間といふ者ですが」

    小谷は酔つて来たのだらう、何度も同じ手真似をして見せた。

    と、房一はほつとした面持になつて云つた。

    「あんまり、ぢつとしとつてもな、身体が生なまに、なるもんぢやから」

    だが、急に機嫌をとり直した。そして、徳次が彼の口から聞くことでどんな表情になるかを期待しながら、ゆつくり相手の顔を見て云つた。

    徳次はやつと安心した。さう云はれてみると、なるほどちつとは大きいかなと思つた。持つて来た甲斐があるといふものだつた。

    「あの人はつまりこんな風な人なんだわ。こんな風に――」

    貰った方でもそのままには済まされないから、返礼のしるしとして自分が携帯の菓子類を贈る。携帯品のない場合には、その土地の羊羹ようかんか煎餅せんべいのたぐいを買って贈る。それが初対面の時ばかりでなく、日を経ていよいよ懇意になるにしたがって、時々に鮓すしや果物などの遣やり取りをすることもある。

    練吉は永い間黙つていた。それから、いかにもいやいやな調子で、

    「うん」

    きよろりとした眼でしきりと家の中をのぞきこみながら、しばらくして

    「ふむ」

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