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    ときは房一を見ると、殆どすがりつきさうになつた。そして、口をひきつらせ、上半身を揉むやうにして訴へかけた。

    もう日盛りの時刻はとつくに過ぎていたとは云へ、半ば傾いてそのためによけい濃くなつた日ざしは河原町の上に、それに沿つてゆるく曲つた川、周囲の山地の上に、こゝぞといふ風に照りつけていた。

    「おーい。渡つてもいゝかね」

    富田は房一に声をかけて彼のために席を明けながら、つづけて

    と、練吉は房一の方をふりむいた。

    「あゝ、まだ持つてる!」

    「もう遅いんですよ、おぢいさん。泊つてつたらどうです」

    と、大声で云ひ聞かせた。

    庄谷は自分よりは高い相手から見下されるのを避けるやうに少し遠のくと、房一の改まつた服装を胸から下にかけてぢろぢろと見た。

    後で馬がいないと云ふので騒ぎだつた。

    「ねえ!」

    二人は間近かで眩まぶしげに眺め合つた。そのまますれちがつて、二三間行きすぎた頃、房一が見送り気味にふりかへるのと、相手が車の上から首をねぢ向けるのと同時だつた。そのはずみに男はひよいと地上に降り立つた。

    「死んだんですか?」

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